ホリエモンとfinalventさんで思うこと

 id:finalventさんの「私もそろそろ消えるころかな。」という言葉に、やめないで欲しいというコメントが集まっている。(そういえば、堀江貴文…… - finalventの日記

 人徳なんだなと素直に思う。私がそのようなことを書けば、わざわざ宣言しないでさっさと潔くやめろと罵声が飛んでくることは間違いないだろう。それだけ氏の発する情報に価値が見いだされているということだと思う。そして、それは、おそらくカネでは買えない。一方で、今のマスコミはどうなのだろうか。カネの為にカネにまつわる話を書いている部分が多いように感じてしまう。世論を反映しているのだと言えば聞こえがいいかも知れないが、世間に迎合しているとも言えるだろう。売れる記事が最優先されているように、私だって今回のホリエモンの件を感じたりもしている。もちろんこれは自分の主観でしかない。記事を書いている人が、俺はカネの為に記事を書いているわけではない、世の中の為、社会の公器としてニーズに応えていると言ってしまえばそれまでの話だ。
 そこで、記者の人に質問をしたくなる。もしあなたが記者をやめて、ブログで情報を発信するとしたら、同じ内容の記事を書きますか? と。
 一方で傍観者たる私が、私に囁きかける。新聞にしろTVにしろ購読者、視聴者が多すぎるんだよと。最大公約数を考えたらこんなもんでしょ と。
 
 finalventさんは昨日の極東ブログでもホリエモンの事に触れている。(極東ブログ)この中で、

少し落胆したのは、その後の世情を見ていると、ホリエモン逮捕がそんなに嬉しいか、藻前ら、という感じ。

との感想がある。
そして、日記の方では、

私は堀江=巨悪、とは思えない。「お金でなんでも買える」という豪語と実践はありふれた悪でしかないし……そして……率直に言えば、若い人なんだなと思う。

とある。
 私の感想はちょっと違う。私はホリエモンが逮捕されたことについて何の感情も持ちえないが、嬉しいというかやったと思う人が少なからずいても仕方がないのかなという気持ちを理屈で正当化できるのではないかなと思う。もちろんそこには嫉妬や妬みなどもあるのかも知れない。でも、それ以上に鍵となるのは、多くの人が彼を成功者だと受け入れられる条件がそろっていたかどうかということなんではないかと思う。成功者として勝ち得た生活、資産などはマスコミだけでなく、本人や友人のブログからも伝えられている。一方で、ライブドアという企業の社長が超一流セレブの生活を送ることがくらいの実績、収益を上げていたかといえば、株主への配当はこれまで行われていないことが端的にそれを示している。
 もちろん、その商行為自体は合法であるライブドアと違い、違法である悪徳商法や詐欺まがいの商法をする企業はこれまでだっていくらだってあったし、それに騙されて泣かされてきた人もいる。そういう意味では巨悪なんかではないと思う。
 では、なぜこういうことになるという話になれば、それは、悪徳商法を行う企業は、世間知として悪い企業であり、将来の日本を担う若者達があこがれ、そして目標とする企業にはなり得ないことだし、一方で、ライブドアの場合、若い人のある意味目標になりつつあった、それだけ影響力を持ち始めたということなんだろうと思う。しかも、その目標が仕事の中身よりもむしろ成功者の暮らしぶりやおカネにスポットライトが当てられていたからなのだろう。創業者、雇用者側にならないと豊かな暮らしは出来ませんよというメッセージは思想として危険を感じた人も少なからずいたのではないだろうか。
 米国のIT企業、例えばマイクロソフトやアマゾン、googleなどの成功が伝えられる。もちろん創業者は巨額の富を手にしているが、彼らはこれらの企業で働く人も豊かな暮らしが出来ていることを示す職場、就労環境、報酬などを世間に示し、また、自らは極力派手な暮らしを押さえた生活をするか、そのような暮らしにもともと興味がないか、もしくは私生活をあまり明かさないように努めているように思う。結果として億万長者になったけど、その為にやってきたのではないんだというメッセージが常に発せられているようにも思える。その一環、路線として普段着の着用もあるんじゃないかと思えたりもする。そして、私生活でどんちゃん騒ぎをしているなんていう報道は聞かないし、仕事が好きで好きで仕方がないという情報しか伝わってこない。
 でも、ホリエモンは違った。おカネで買えないものはない、時価総額世界一、将来の総理、そして自家用ジェット。富と権力を求めているように人々の目に映った。そして、それは、ライブドアの社員の為でもなく、株主の為でもなく。
 三波春夫さんの、「お客様は神様です。」という言葉を思い出した。
 古今東西、謙虚さを忘れた成功者に寛容な庶民を私は知らない。金ピカのローレックスを腕にはめて、これ見よがしに貧民街を歩いたら、腕ごと切り落とされ、略奪に遭うよというほんとか嘘がわからないそんな話があったりする。
 おい、finalventさんの話のキモは違うだろう、「ここに日本の国家が恐怖として顔を覗かせていて、マスコミも法も無力になっている。」という指摘が重要なんじゃないの と、こんな事を書いているとたたかれるかも知れない。この程度の悪でなぜここまでやられるのかと。

 この点についてはどうなんだろうかとしばし考えてみる。答えは見つからないが、少なくとも私には国家の恐怖がこの件については感じられない。じゃあ、なにもしなければよかったのかとか、どういうやり方だったらよかったのかとかいろいろ考えてみるとどうなんだろう。どなたか納得出来る解を提示されているのだろうか?

 そんなことをつらつらと考えてみた夜だった。

<追記>
 最近の若者ってマジで彼らが目標だったり夢だったり希望だったりしたの?と正直思う。もっとクールでむしろ現実を直視しすぎているように思えたのだけれど。
 むしろ、投資者側の萎縮を心配する。羮に懲りて膾を吹くってやつ。
 政局に関しては…国会議員は国民によって選ばれるものなんだよね…としか言えない…かな。