鉢合わせてはいけない場所

しばらく顔を合わせていなかった旧友にばったり出くわすことがある。
 
さすがにこちらに来てからはそういうことはなくなったし、逆にこちらでは遇う人にはしょっちゅう遇う。
 
日本にいた頃の話。
まぁ、どこかの商業ビルとかレストランとか電車で偶然見かけて声を掛けたりすれば、それはそれで楽しかったりするし、じゃあ、今度飲みに行こうとか、これからお昼でもどうなんて展開になったり、ミニ同窓会でもやるかなんて話になることもあった。
 
が、しかし、そうでないことも、時と場所によってはある。
 
微妙な時間にとっても微妙な場所でばったりあったりすると、ちょっとばつが悪かったり、さらにはとっても困った雰囲気になったこともあった。
 
駅のトイレとかはなんとか許容範囲だが、サウナなんてのはちょっと気恥ずかしかったりする。

それよりも困ったのが、例えば避暑地。互いに彼女連れだったりすると何とも言えない空気がその場に流れたりする。心の中では、「あれ、この間のとは違うぞ。」と思っても、それを決して口には出来ず、結局交わした言葉すら覚えていないくらいな妙な心理状況になり、落ち着きのない一日を過ごす羽目になったりしたこともあった。そのことを誰かに話したくても連れに言うわけにもいかず、悶々とした時間を過ごすことになるからだ。
 
歌舞伎町なども、旧友とは出くわしたくない場所だ。この時間にヤツは一体何をしてたんだ、確かあいつ酔ってなかったぞ、とかお互いなんとか自分がそこにいる正統な理由を主張しなければ(←変な誤解や誤解じゃない誤解とかいろいろ)ならない状況となるため、会話がどうしてもぎこちなくなる。
 
今でもよく覚えているのが、K君に朝の六時頃に歌舞伎町のど真ん中で遭遇したことだ。お互い朝の六時に交わせる言葉など持ち合わせてなんかいなかった。
だいたい、お互いを認識した時に出た言葉が、
 
「あっ!」
 
という発声だけなのだから。

「元気か?」とか「変わってないな。」とか二言三言話しただけで、
 
最後は、
 
「じゃあ」
 
で終わり。
 
不自然過ぎる。お互いいい歳をした大人同士としてどうよ。
 
そして、その場を逃げるように離れる二人。アホですね。
 
その不自然さがいけなかった。
 
互いに、別の機会に遇った友達に、
 
「あいつさ、早朝に歌舞伎町うろうろしてたんだぜ、俺は○○という用があったんだけどさ。」
 
なんて言うもんだから、互いに墓穴を掘る始末。
 
今だから聞けるけど、ホントはお前、あそこで何やってたの?
 
http://d.hatena.ne.jp/SNMR/20050524#1116937390のMOF&MOF担でふと思い出した話。