アナタ、ワタシと気持ちのいいことしましょう

といきなり片言の日本語で話しかけるのもどうかと思う。

それに私はいったい何と答えればよいのだ。

日本語で、
「いや、結構です。」とか
「間に合ってます。」とか答えればいいのか。
それとも、フランス語で、
「ノン、メルシー」とでも答えれば満足か?

ていうか、おまえ、フランス人じゃないだろう。
どっから来たんだ。
日本に不法滞在して、追い出されてやってきたのか?
それとも、これまで何人か日本人を相手して覚えたのか?

だいたいなんで二人組で声を掛ける?
おじさんにそんな元気はないぞ。

そのきつい香水なんとかしろ。これ以上近づくな。
うちに帰ってあらぬ疑いをかけられるのはご免だ。

頼むからついてください、お願いしますよ、ほんと。
ほら、すれ違う人が勘違いしてるじゃないか。

なんで腰に手を回す。
財布をスるつもりか?
あいにく財布は持ち歩かない主義だ。
現金だって10ユーロくらいしかないぞ、ざまあみろ。

そこらの観光客と一緒にするな。
その手でおまえらいくら稼いでいる。

しまいにはこっちだって怒るぞ、東洋人らしい細い目で思いっきりにらむぞ。
どうだ、こわいか、まいったか。

こら、笑ってるんじゃない。

これはどっきりなのか、カメラが隠れていたりするのか?
俺は試されてるのか?

もう訳ワカランから走って逃げよう。




最近、パリには大胆な客引きがいます。
あとからどんな恐いお兄さん方や手荒な人が登場するかわかったもんじゃありません。
警官のフリして近づいてくる輩もいます。
旅行、出張を予定されているスーツ姿のあなたや金持ちそうな格好のあなた、そしてそこの高級腕時計をはめているあなた、くれぐれもご注意を。