faire l'amour

ピンポンという音とともにガチャっと鍵が廻る音を聞きつけて、玄関へと急ぐ彼女。

「おかえりなさい、早かったのね。」と、無邪気な笑顔と少し甘えた口調で呼びかけながら、彼の左側から自らの体をそっと委ね、その華奢な左腕に彼の上着を抱えながらも空いているもう一方の腕を腰に軽く絡ませたときには、上目遣いに彼を見つめる彼女の瞳は少し潤みがちで、そのほほには少し赤みがさしていた。

「あぁ。」とだけ呟いた彼の彼女を見つめるまなざしはいつもにも増して体全身を包み込むような優しさに満ち溢れている。

廊下を体を寄せ合いながら、リビングへと向かう二人はただじっと見つめるだけで、言葉にならない興奮と頭からつま先までに伝わるかすかな痺れに酔いしれつつも、体の奥から突き上げてくるような衝動を抑えきれずに、そっと、その唇と唇を重ね合わせた。

最初は軽く、大切なものにそっと触れるかのように、そして、次第に挑発的に、激しくむさぼるように、思わず漏れるあえぎ声にも近い嬌声に全身を麻痺させながら、時間を忘れ、互いの熱くそして、いとおしさに溢れた想いを体の芯で感じるという至福の時を迎えたのだ。
それから二人は...










と、ここまで来れば、あとは、その後の彼の右腕の行方によって、その夜のコースが大方決まりそうな状況ですが、とりあえず、ここまで。
もし女性側が、
今晩は行くぞ!と鼻息の荒い状態ならば、このあと、間髪いれずに押し倒されるところまで持っていけば勝ったも同然。
「おなかすいた?」、とか「ねぇ」なんて会話のきっかけをつくろうものならアウト、「うふ」とか「くすっ」と微笑むだけでも、男性側の気持ち次第で展開がおかしくなるので、細心の注意が必要な攻めどころ。
まぁ、女性側にそこまでのつもりはなくて、単なる愛情確認だけなら、会話モードに突入でOKというところでしょうが。(男性にとってはたまりません状態ですね、疲れていなければ。)
こんな、恋人たち、または新婚夫婦の初期の頃の甘いひとときに対して、
「こんな刺激的な毎日を送っていたら身が持たない」とか、「そう長くは続かないさ」などというやっかみは別にして、不倫の場合にこういった盛り上がりや駆引きってあるもんなんでしょうか。
ナンパや援交、不倫の男女関係って、行くぞモード全開で、どこかこのような情緒に欠ける気がするのは、単なる気のせいなのか、はたまた、そのとおりなのか、いまいちよくわかりません。
今日、いかにもな不倫カップルを見かけて、ふと、思ったことでした。
こっちはやっぱ、多すぎ。頭の中、おもいっきり花咲きまくってるよ、あんたたち。