少子化対策外伝

<お断り:このエントリーはおっさん向きのもので、決して万人向きのものではございません。>
R30さんのところでの
出産育児手当は少子化対策になる…わけねーだろ: R30::マーケティング社会時評

天下の暴論的少子化対策のアイデア: R30::マーケティング社会時評
の議論の中で、ふと気づいたことなのだが、議論が発散しそうだったので、コメントとしては書かなかったことがある。
R30さんのところは、寄付文化や旅先のお便りに話題が完全に移行しつつあるので、タイミングとしてもこの辺かなと。
<避妊率と出生率の関係について>
諸外国の出生率のレポートをごらんになった方ならご存じだとは思うが、各国出生率の比較表の右側の最後の欄には避妊具普及率なる欄が設けられている。
宗教上の理由(例の「産めよ増やせよ)で避妊はいかがなものかという国や、経済的理由などで普及が遅れている国などはこの普及率が極めて低いのだが、その場合総じて出生率は高いようだ。
先進30カ国ではアイルランドを除き、軒並み普及率が高い。
ということは、乱暴に言えば、法律で避妊を禁じたり、コンドーム1個に数千円の税を課したりすれば理屈では出生率の上昇が期待できるのだが、あくまで理屈であって、実現可能な話ではない。
特にHIV感染を始めとする性病の蔓延を防止する観点からも、コンドームに高額の税をかけるなどもってのほかであり、アフリカのとある国のように子供がバカスカ生まれても一方でエイズ発症で平均寿命が40歳いけるかどうかといった状態になってしまったら元も子もない。といっても、空打ちもったいない税みたいなものを取るべきかどうかという可能性も捨てきれない。家族計画しすぎの状況は今の日本にとって好ましい状況ではないだろう。
ここで、ふと気になるのが、ピル(経口避妊薬)はいつから解禁になったかということだ。もちろんこのピルは生理不順の調整など治療目的では古くから使われてきた訳だが、もっぱら避妊の目的で解禁となったのがいつ頃からで、あと年間の使用量の変化と出生率の変化あたりの相関性にも興味が沸く。
付け加えれば、避妊方法の精度のめざましい向上と出生率の低下への寄与なども興味深いテーマでもある。現在のコンドームの性能はいったい9が何個並ぶ状況なのだろうか。国別コンドームの性能比較データなどがあると面白いかもしれない。
そういえば、オギノ式などという言葉に興味を抱いた少年時代を懐かしく思うとともに、今もこの言葉は廃れずに共有されているのかなどということはこのテーマとは関係なく興味のあるところだ。
<宗教と出生率
セックスと宗教の関係については正直言って明るくないのだが、アイルランド出生率が高いように、その戒律の影響は少なからずあるのだろう。といってもキリスト教、特にカトリックがマジョリティの国(スペイン、イタリア等)における出生率の低さを見ると、カトリックにおける戒律そのものが風化しつつあるのかもしれない。敬虔なカトリック信者は今や少数派ということだろうか。快楽のためのセックスは戒められるべきものではなくなったのか。米国ではいろいろと厳しいモルモン教出生率への寄与度にも興味のあるところだ。そういえば、米国における中絶反対や同姓の婚姻への根強い反発は少なからず少子化への歯止めとなっていると思われるが、ブッシュ政権はそのあたりにも計算が働いているのだろうか。
<セックスの回数と出生率
昨年だったと思うが、何かの調査で、夫婦の性交渉回数の国別比較みたいなのが出ていたことをうろ覚えだが、記憶に残っている。
なぜかと言えば、確かフランス男性が最も回数が多く、日本人男性の回数がかなり少なかったからだ。つまり、例え日本における平均以上の回数を誇っていたとしても、妙に肩身の狭い思いを勝手にしていた記憶がある、などということを考えながら地下鉄に乗っていたのだが、ああこいつも週3回、この奥様も週3回などと考えていたら、気分が悪くなってきた。
そういえば、その当時読んだ記事では、「回数だけが問題ではない」、「テクニックが重要」「一回に費やす時間が大事」「満足感が与えらればいい」みたいなコメントを読んだ記憶があるが、避妊普及率や使用頻度が変わらなければ、やはり、数の多い方が命中率は高くなるのだろうか。
<風俗産業、エロ産業と出生率
空打ちが多くなると言う点で、ソープランドなどの所謂抜き産業が発達した国とそうでない国では出生率に有意差があるのだろうか。
フランスと日本で比較した場合、その規模はフランスが圧倒的に小さい。もちろん売春婦はいるが、たいした人数ではない。
ところで、時代の変化で考えた場合、エロ産業はその経済規模からすると右肩上がりでいまだ成長していると考えてよいのだろうか。
コスト面から考えると、昭和50年代後半以降急激に単価が下がり、金額的には非常に利用しやすくなったおかげで、空打ちの総数は飛躍的に増加したのではないだろうか。一時エイズの影響で利用客が減ったようであるが、いわゆる本番行為以外の産業の台頭により、その減少をカバーしてあまりある状況であるようなことを、「トゥナイト」あたりの風俗史紹介などで見聞きした記憶があるが、今はどのような状況なのだろうか。
結婚後、夫婦間で行われる総数と空打ち総数の関係を示すデータなどがあると何かわかるかもしれない。
なお、空打ちとなると、アダルトコンテンツ(AV等)の利用による自慰行為なども考慮に入れなければいけないところだが、これについては古今東西何処でもおさかんなので、検討するのは少々困難なように直感的には感じる。ただ、日本とフランスで比較した場合、フランスを含め欧米諸国のものはいかにもプロが演じた作り物の感が強く、現実世界との乖離、つまり映像の中で繰り広げられる行為にどうしても距離感を感じさせられるのだが、比して日本のものはプロらしさを極力排除する傾向が特に女優については顕著のように思われる。そういった意味で、フィジカルには同じではあっても、心理的な面に与える影響は異なるのではないだろうか。まあ、触発のされ方は個人差があるようにも思うが、個人的には日本のものの方が満腹感(決して満足感ではないのだが)が大きいように思う分、夫婦生活のトリガーには(欧米のものよりは)なりにくいように思っていたところ、聞くところによれば、欧米での使われ方は、やはり夫婦間、恋人感の現実行為への誘引的役割を果たすように作られているものが多いとのことで、これには妙に納得した。
(まったくの余談:先日確か0時過ぎにザッピングしていたとき、突然トッティばりのラテン系イケメン男子2人の一糸まとわぬ姿でのもつれ合い&それぞれの立派な膨張したブツを目にしたときにはかなり眩暈がしたのと、その映像がしばらく目に焼き付いて、非常に憂鬱な気分がしばらく尾を引いた。別にアダルトチャンネルという訳でもなく、朝と晩は子供向けアニメなどを放映してるcanal+という日本で言うところのWOWOW見たいなものだが、いくら深夜の時間帯とは言え、18禁無修正それも同性愛ものはどうかと思う。別に同性愛に偏見がある訳ではないが、ノーマルな男子にとって、男子同士がブツをいじくりあう映像はやはり無理がある。この国は男女物、同性愛物の雑誌も普通にそこらの雑誌スタンドで売ってるし、そのスタンドのウインドウにも普通に飾ってあって、裸丸出しなのだが、日本と違ってどうやらそれを気にする人はあまりいないらしい。最近よく目にする男子同士用の雑誌は「TETTSU」というタイトルだが、とっても日本人の名前っぽいこのタイトルが妙に気になったりしている。)
<人妻不倫と出生率
男性の性的欲求が無駄に解消されているかどうかについては上に書いたが、では女性の性的欲求はどうなのかと。たまに日本の雑誌を手にすると、人妻5人に1人とか2人が経験済みとか、今後も増えそうとかなんか煽り入れているような記事を目にするのだが、実際のところどうよという話。相方だけでは満足できないとてもお好きな方のケースは置いておくとして、不倫相手がいればそっちの方は満足、つまりは性的欲求は解消されてしまっているというケースはどのくらいあるのだろうかと。出生率に影響するほどなんでしょうかね、実態は。
<エロオヤジ>
バイアグラが爆発的に売れたりして、今まで日の目を見なかった分身君がかなり放出される機会を得るようになったわけだが、彼らはいったいどこに放出されたんでしょうかというのも気になるところですが、一方で見るからに精力絶倫、エロオヤジ丸出しというおっさんをあまり見かけなくなったのは気のせいでしょうか。そばによるだけで妊娠しそう見たいな奴が言われ方で種馬などとありがたくもない称号を勝手に与えられた方々も昔は多かったような気がするのですが、最近そういう人、身近に見かけます?
まあ、もっとも、エロオヤジや種馬さんも今の社会ではおそらく肩身の狭い思いをしているために極力エロ具合を包み隠しているだけならいいのですが、なにせ、セクハラオヤジとか、変態とか思いっきり罵倒される世の中になってしまったようですから。
<まとめ>
なんてことをグダグダ書き連ねたのも、そもそもエロ度が下がったといいましょうか、性的欲求というか本能の部分でのパワーが衰えているのであれば、少子化問題を他の切り口で語っても徒労に終わるのではないかという不安がわずかながらもあるので。
特に欧米、中近東あたりの宗教的教えである「快楽のためのセックスはよろしくない」みたいなことを子供の頃から刷り込んだ上でさらに避妊方法まで教えている民族と、「たとえやっても子供ができちゃったり病気もらったりしないようにきちんと避妊しましょう」とだけ教育している民族とでは、どうも結婚後におけるセックスパワーの爆発度合いに違いがあるような気がする。
セックスしたい度そのものが落ち込みつつあるかどうかは手元にデータがないのでよくわからないが、出来ちゃった婚の比率が上がってることやラブホの利用率が増えてることからも、それほどやりたい度が下がってる訳ではないのだろうと。
もちろん、晩婚化や未婚率の上昇が事実としてある。これについては、その要因としては様々だろうが、性的欲求や子供が欲しいという本能が損なわれつつあったり、代替的解消手段が増えている状況にあり、数値に影響を及ぼすほどになっているようでもあり、さらには今後も拡大する傾向にあるなら、対策を講じるのはかなり厳しくなるように思う。
また、R30さんのところで、結婚すれば第1子を授かる率はかなり高いが第2子以降に続かない傾向があるようなことが書かれていたが、実際そうであれば、その要因についても気になるところがある。もちろん経済的な問題とか、一人でもうたくさんとかの理由もあるだろうが、

そもそも夫婦お互いの性的欲求が、第一子の誕生後、お互いのパートナーに向かなくなる傾向が高まっている

ようであれば、育児手当の増加にしても、企業への課税にしても、女性へのケアにしても、その対策は無意味となってしまう。
夫婦ともに性的欲求の解消手段をパートナー以外に見いだす傾向が高まっているかどうかについて、それが事実としてあるようならば、ちょっとやっかいかなぁと思った次第で。
日本人自体の性的欲求が衰えていないとするならば、夫婦間の回数が少ないことが妙に気になるのですよ。避妊さえしっかりしてればというよりしやすくなってるから、回数減らす必要ないし。居住環境は昔に比べ格段によくなっただろうから、子供を気にする度合いも全体的には減ってるだろうし、親との同居率も落ちてるし。
そこらあたりのところ、どうなんでしょうねぇ。