物の値段

フランスで何か購入する場合、例えばリンゴでもバナナでもいいのですが、目安となるのはその値段です。
安いものはそれなりに、そしてそれなりにいい値段のするものはおいしいです。
日本ではしばしば安売り戦争が行われていたように記憶しています。
特に赤字覚悟だったり、ほとんど儲けがない、いわゆる薄利多売のケースが多いように思います。
フランスではそういうことはあまり起こりません。
そのものにそれだけの値打ちがあるならば、その値打ち以上に安くすることは考えの中にまずないように感じます。
彼らの発想では、これだけの価値があるのになぜ安くしなければならないんだという考えが根底にあるように思います。
そんなこと言ったってソルドがあるじゃないかとの意見もあるでしょう。
しかし、ソルドに関しては厳しい規制が設けられています。通常販売されている商品以外の別の商品を販売することは許されていないようなのです。
つまり、例えば衣服であれば、秋口から冬物の販売が開始されますが、それが年末まで売れ残った場合、その触れ残ったものは売れるだけの価値がなかったということで、値を段々と下げながら売り尽くしていくのです。ですから、バーゲンの時期に棚卸しされた商品は正規の値段で販売されます。
これとは直接関係ありませんが、バゲットいわゆるフランスパンは統一価格が定められており、どこのお店で買っても同じ値段です。
以上のことは、商売人にとって実は幸せなことだと思います。
日本では、原価に近いところまで値引きを行い、本来100個売ればなんとかなるものを10000個売らなければ同じ利益を得ることができないような商売になりがちな感覚があります。そしてそこにはどうしても無理が生じてしまうようです。
現実の商売として、なかなかそういった風土を変えることは難しいと思いますが、付加価値の考え方については見習うべきではないかと思ったりします。
時代を通じて物の価値が変わらないことはそれだけ国力が安定するように思われます。
また、フランスの消費税は10数パーセントと非常に高いですが、利益が安定していることにより、商品の売り上げが安定していることから、それにより消費量が落ち込むようなことはありません。必要なものには必要な費用をかけて支払うという考えがしっかり根付いているからです。
まあ、こちらで暮らす人間にとって外食はかなりの出費となるので、厳しいと言えば厳しいのですが、それだけの手をかけている、つまり付加価値ついていると考えれば支払うべきかなあという考えにだんだんと染まってきます。ただ、そのかわり、その料理なり娯楽なりを思い切り楽しもうという気持ちになるので充実しますが。逆に値段に見合わないものを出されたら、平気で文句をいう権利も当然あり、そこここでそのような状況に出くわします。
だいたい、そういう場合は店の方が謝ることが多いです。ソースをなめたりして納得すれば、新たに作り直したり、お詫びにワインを振る舞ったりして最後は大円団で終了です。
そういった関連で、よくチップといくら払えばよいか尋ねられることがありますが、本当にサーブしてもらったと思ったらそれに見合うチップと払えばいいのです。
愛想の悪い、もしくはあまり手を煩わさなかったと思えば払う必要はありません。
但し、カフェでカフェが1.8ユーロだとしたら、2ユーロ出しておつりは置いていくのが粋ですね。(といっても、もちろんおつりを持って帰っても、いっこうに構いません。)
日本では全部価格に含まれてたりするので、こちらの感覚で振り返るとちょっとずるい感じがします。