それはちょっと...

事実関係がおかしいと思うのですが、R30さん。
いや、その前に、50万PVおめでとうございます。
で、話は、最新のエントリの京都議定書なんかどうでもいいよ、自然が一番: R30::マーケティング社会時評に戻るのですが、

有名な話だけど、ヨーロッパは日本の北海道よりもずっと緯度が高いところにあるわけで、そこで北極にオゾンホールが開いたら白人の皮膚ガンの発生率がガクンとアップするわけですよ。つまり、ダイレクトに命にかかわる。南の島の人たちも、観光産業がダメージを受けて国の面積が減る。

 CO2排出→温暖化ガス増大→オゾンホール、海面上昇→皮膚ガン、国土喪失てなわけで、もう自分たちの目の前に迫り来る危機だから、環境環境と叫ぶわけだ。

 しかし、世界で一番大量に化石エネルギーを消費している2つの国(米国と日本)が、とりわけこの問題に対して関心が低い国でもあるってのは、地球って本当に皮肉ですよねまったく。

についてから始めます。
すでにコメント欄にも書かれているように、地球温暖化の話とオゾン層破壊の話は気候変動枠組条約の中でも別立てで動いていて、モントリオール議定書に示される化学物質(オゾン層破壊係数つき)はいわゆるフロンやハロン、そして、今回の京都議定書に示されるのは二酸化炭素代替フロンなどです。
つまり、オゾン層破壊の懸念がある物質と温暖化の原因物質とは異なる訳で、温暖化ガス増大がオゾンホールへと向かう話は少なくともこの条約の根拠としては出てこないのです。
いや、温暖化によって、間接的に北極におけるオゾンホール出現危機が高まるんだという話が出てくるかも知れませんが、この理屈も現在の南極でのオゾンホール出現の状況を考えると難しいことはわかると思います。
南極でのオゾンホールの出現時期は8−10月つまり、南半球の冬にあたる時期で、気温というか上空温度が低くならないと出現しないようなんですね。
ということで、欧州人が紫外線モロ浴びることになるかもしれないとマジでやばいと思ってるなんてことは、少なくとも温暖化関係ではないのですね。
それと、化石エネルギー消費については、おそらく先進国という言葉を入れ損なったのでしょうが、すでに中国が上回っている訳ですし、さらに言えば、日本(の企業)ほど化石燃料を大事に使ってる国はない訳ですし、省エネ対策のレベルも世界有数ですから、この問題に関心がないというのはちょっと違うかなと個人的には思いますが。
それと、これは、極東ブログさんにもR30さんにも共通して言えることですが、環境経済関係をクローズアップされるのもいいですが、実は森林関係がむしろ今後はクローズアップされてくると思いますよ、欧州の動きを見ていると。カナダの今後の動向によっては日本はかなりつらいんじゃないですかね、木材の調達に関しては。幸い米国が離脱したことで救われてはいるものの、今後いろいろつらいのではないでしょうか、ブラジル等南米との関係もありますし。
次に、企業レベルではなく、流通、消費者レベルの対策関係の話ですが、おそらく今の流通、小売業が如何に無駄、つまり、廃棄処分や在庫余りを抱えないような効率的なシステムになっているかはよくご存じだと思います。そして、一番の温暖化対策は無駄なものをつくらないということが最も効果があることだということもご存じでしょう。(そのあたりは安井至先生がかなり研究されています。)
小商圏型店舗を実現しようとした場合、現在マクロで吸収・効率化できていたものが、どうしてもそれほどはできなくなる、つまりロスが発生することは覚悟しなければならないでしょう。現在の商品選択肢を狭めれば、ニーズに応えられなくなりますし。それに、保冷施設を分散させるとそれだけで、電力使用量は大幅アップすると思うんですけどね。
現在のように、土日に大型店で下手すれば一日過ごす家庭がけっこうあるおかげで、実は個々の家庭で使用される電力つまりは化石燃料が浮いていたりするなんてことは考慮なしですか。それと、人間の発熱量って大したもので、施設に人があまりいなければ、そんなに冷やさなくても実はOKなんですよ。
それに、車や大型冷蔵庫のなかった江戸時代の話を現代に持ち込むこともどうかと。
地球温暖化やリサイクルなんかを考える場合、例えば車であればプリウスより数段上の車を今後開発して、生産し、現在の車と買い換えましょうなんてやった場合、実は、その開発、生産、現在の車の廃棄処分に費やされる化石資源をその省エネ効果で取り返すにはかなりの年月がかかるのですよ。そうすると、3年で新車に乗り換えるなんてことをしていたら、購入者側も、温暖化対策としても実は元が取れないなんてこともあり得る訳で、じゃあ、今の欧州みたいに10年以上は平気で乗りましょうなんてことになると、車は売れなくなったりする。これは、電化製品にも当てはまる訳で、そうすると、経済的にも地球温暖化面でもメリットは少ないなんて話になる。大型冷蔵庫を小型冷蔵庫にしても電力消費はそう変わらないし、食べきれなくなって捨てるものが増えたりしたら、それだけで生産、輸送の無駄だし、焼却処分に必要な燃料も馬鹿にならないし。まさか、ドイツみたいにご家庭でミミズを飼いましょうなんて言いださないですよね。
この地球温暖化の話は、そう簡単に扱える類の話ではないと思いますよ。