ワールドカップ予選に関して再び

 カズやゴンの招集については、10月14日に一度書いた。(id:antiECO:20041014)
 相変わらずジーコ監督がカズやゴンの招集にこだわっているように報道されている。これが事実だとしたら、本音では中田英寿稲本潤一をどうしてもテストしておきたいのだろう。
 確かに今の彼ら抜きの代表チームは非常に雰囲気もよく、順調に見える。
 しかし、それは日本と同レベルかそれ以下の国を相手にしている場合には通用するが、日本より実力が上回る国を相手にする場合、そうはいかない。そのような国を相手にする場合は、引き分けを狙いにいく訳だが、中田と稲本はその際非常に効果的な選手というのがジーコ監督の彼らに対する評価だろう。彼らのプレースタイルは失点を可能な限りゼロに抑え、1点差でもいいからそれで勝てればいいという堅実なスタイルだからだ。
 さらに、中村、小野は削られると負傷しやすいという印象もあると思う。彼らがけがを抱えずプレーしている試合数は実は非常に少ない。これは、最終予選をなんとか勝ち抜きたいと考えている国にとって、非常に大切なことで、当然この弱点を突いてくる。つまり、この両名に頼るチーム作りはかなりリスクが高いのだ。
 特に、最終予選はとにかく負けなければ突破できる可能性が非常に高くなる。勝ち星を重ねなければならない一次予選とは条件が180度違う。そこを、川渕キャプテンもジーコも非常に心配しているのだろう。
 それで、話は戻るが、シンガポール戦である。
 どうも、今の代表選手達は非常に結束が高くなってしまったようだ。逆に言えば、仲良し関係が強すぎるということ。それが、中田、稲本不要論につながっても仕方がないし、世間やマスコミの論調もそれを煽るかのようで困りものである。それを象徴するようなニュースが今日あった。横浜マリノスのある選手が、過去の英雄たちの招集に不快感を示したのだ。

 中沢「カズ、ゴン招集」に疑問
 横浜Mの日本代表DF中沢佑二(26)が22日、W杯1次予選シンガポール戦(11月17日・埼玉)について、これまで招集されながら出場機会の少なかった選手の起用を訴えた。ジーコ監督(51)が三浦知良(37)=神戸=ら元代表の“功労者”を起用する方針を示したことに対し、現役の代表選手からプランの見直しを要望する声が出たのは初めてだ。(Yahooスポーツ、スポーツ報知)

 そうなると、現在のチームに、中田、稲本を合流させても、不協和音を起こしかねず、そのギクシャク感が余計に、彼らの復帰を困難にする。それを解消するためには、それより上の世代のベテランにチームのまとめ役を委ねる必要がある。誰がそれに適役かを見分けるにはシンガポール戦は最適なのだろう。
 今再び日本の悪しき習性が出つつある。勝利の為なら悪魔とでも契約するのでななく、あくまで仲間を大切にするというプロらしからぬ反応だ。
 どんなにすばらしいタレントが集まっても、これが始まると、二流以下のチームに成り下がってしまう。
 おそらく、トルシエはその日本人のそおの習性を熟知していて、自分を彼らやマスコミの攻撃の対象に据えることにより。そこそこの成功を収めた。ジーコも川渕チェアも当然そのことは承知しているはずであるから、今後、どのような手を打つか、これから数ヶ月が実に見物だ。
 そして、日本代表各選手も、一流になれるかどうかを試される時期がきていることは間違いなく、おそらく欧州組はそんなことは百も承知だろう。問題は、そこそこ実力があるにもかかわらず(そのメンタリティの問題から)海外から声のかからない国内の選手達なのだ。
 中田や稲本の復帰を望まない(つまり、今の代表選手や控え組にこだわる)選手やコーチ達は、彼らの復帰の是非や如何にかかわらず、代表から外される可能性はかなり高いように思う。今後の言動には注意した方がよいだろう。プロの厳しさはそういうところにあってしかるべきだ。