金銭感覚と為替レート

 欧州の基本通貨はユーロである。ただし、英国はポンドである。現在1ユーロは135円前後、1ポンドは1.45ユーロ前後である。人間の金銭感覚は不思議なもので、なぜか1ユーロと聞くと大体100円と考えてしまいがちである。但し、慣れてくると3ユーロと聞くとそこで自動的に400円に換算される。
 これが千数百ユーロとか1万数千ユーロという話になると、どうしてもそれ以下をはしょって概算しがちになってしまうため、実際の円換算と大きく異なってしまうことが度々ある。
 ここで、なぜポンドが出てくるかというと、ユーロを使っている人間がポンドで買い物をする際も、このアバウトな感覚により過ちを犯しかねない状況に度々出くわす。支払いたいと思うものが高いか安いかの判断がどうしても狂いがちになる。おそらくこのような錯覚は英国にとっては非常に歓迎される状況なのではないだろうか。(但し、これは企業間の商取引等に言及するものではない。)庶民レベルではずいぶん英国は得をしているような気がする。
 ここでなぜそんなしょうもないことを言い出したかというと、それはアマゾンUKからよく買い物をするからである。当然アマゾンUKでは代金はポンドで表示される。それを円換算する場合は大体200倍すればいいので、その際の判断は問題ないのだが、これが今度はユーロで請求書に表示される。すると、円換算された値を100で割った数値よりかなり少なくなるため、思ったほど買い物したわけではないような錯覚に陥る。それで新たに新しいものを購入する気になったりする。すると最終的には思わぬ出費をしていることに気づく。本当に為替レートとはやっかいなものである。ちなみに、フランス人の多くはいまだにユーロをフランに変換して、高いか安いかを判断しているとのことである。人間の頭はやはりコンピュータとは根本的に違うようだ。